徳島地方裁判所 昭和63年(わ)249号 判決 1988年7月20日
本店所在地
徳島県麻植郡鴨島町鴨島四三五番地の一五
株式会社ママの店
右代表者代表取締役 板野悦三
本籍
徳島県麻植郡鴨島町上下島四三三番地
住居
同県同郡同町鴨島四三五番地の一五
会社役員
板野悦三
昭和二年一一月二三日生
右被告会社及び被告人に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は、検察官大仲土和出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社ママの店を罰金一、〇〇〇万円に、被告人板野悦三を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人板野悦三に対し、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社ママの店は、徳島県麻植郡鴨島町鴨島四三五番地の一五に本店を置き、食料品等の販売業を営むもの、被告人板野悦三は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの方法で所得を秘匿した上、
第一 昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度における右会社の実際の所得金額が二、七九二万一、〇一四円であり、これに対する法人税額が一、〇六八万二、一〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、同県同郡川島町大字宮島七四七番二所在の所轄川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零円であり、還付すべき税額が八万四、六三〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額一、〇七六万六、七〇〇円を免れ、
第二 昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における右会社の実際の所得金額が二、五二九万二、八六五円であり、これに対する法人税額が九四六万八、〇〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四三万六、三六四円であり、これに対する法人税額が二五万五、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額九二一万二、三〇〇円を免れ
第三 昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度における右会社の実際の所得金額が一、八五九万五、八三六円であり、これに対する法人税額が六六四万五、二〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六七八万九、〇一二円であり、これに対する法人税額が一六八万二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額四九六万三、〇〇〇円を免れ、
第四 昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度における右会社の実際の所得金額が四、三六五万〇、七五〇円であり、これに対する法人税額が一、七三四万七、三〇〇円であるにもかかわらず、同年六月一日、前記川島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六七七万四、二一一円であり、これに対する法人税額が一五三万〇、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額一、五八一万六、五〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人板野悦三の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官(七通)に対する各質問てん末書
一 板野俊夫の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官(一七通)に対する各質問てん末書
一 野々瀬一枝の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官(二通)に対する各質問てん末書
一 工藤明美の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 板野俊夫作成の申述書
一 大蔵事務官作成の告発書、簿外所得調査書、売上調査書、機首期末棚卸商品調査書、旅費交通費調査書、交際接待費調査書、租税公課調査書、地代家賃調査書、受取利息調査書、欠損金の当期控除額調査書、現金調査書、預金調査書、棚卸商品調査書、貸付金調査書、代表者勘定調査書、車輌運搬具調査書、未払金調査書、P/L不突合額調査書、役員報酬調査書、給料手当調査書、受取利息調査書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書四通(自昭和五八年四月一日至昭和五九年三月三一日のものは判示第一の事実、自昭和五九年四月一日至昭和六〇年三月三一日のものは判示第二の事実、自昭和六〇年四月一日至昭和六一年三月三一日のものは判示第三の事実、自昭和六一年四月一日至昭和六二年三月三一日のものは判示第四の事実)
一 押収してある株式会社ママの店法人税額確定申告書四通(昭和六三年押第三一号の一ないし四、自昭和五八年四月一日至昭和五九年三月三一日のものは判示第一の事実、自昭和五九年四月一日至昭和六〇年三月三一日のものは判示第二の事実、自昭和六〇年四月一日至昭和六一年三月三一日のものは判示第三の事実、自昭和六一年四月一日至昭和六二年三月三一日のものは判示第四の事実)
(法令の適用)
被告人板野悦三の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるので、同方四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第四の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとし、被告会社株式会社ママの店に対しては、法人税法一六四条一項、一五九条一項により、それぞれその罰金刑を科すべきところ、刑法四五条前段、四八条二項により、その合算額の範囲内で同被告会社を罰金一、〇〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 山本恵三)